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LRTを活用した中心市街地のトランジットモールは、市外地開発計画の必要条件であろう。都市の規模も超大型になると、公共交通機関の整備も含めて都心集中型には限度を生じ、都市機能の分散を促す方向になるが、ケープタウン市の場合においては、まだ都心部の開発を公共交通機関の整備と共に、有効に進めることにより総合的都市開発を成功させ、市全体の発展を果たすことができるであろう。

 

7.3 環境影響評価

 

7.3.1 大気汚染

 

都市圏の拡大に伴い、トリップ長の増加が著しい。また、モータリゼーションの影響により、都市圏の自動車交通、特に朝方ラッシュ時を中心に増加傾向にあり、その結果道路混雑は徐々に深刻な状況になりつつあり、このことは道路輸送効率の低下と共に、周辺の都市環境に大気汚染等のインパクトをもらたし始めている。
ケープ都市圏における環境公害の実態として、この様な自動車走行速度の低下に伴い、CO、HC、NOX等の大気公害物質がおよそ80%増加しており、今後20世紀末までに更にCO、HCについては2倍、NOXは80%増加するものと予想されている。
自動車排気ガスの影響はケープタウンの中心市街地ではより深刻に受け止められている。すなわちケープタウンの中心市街地はデビルスピークやテーブルマウンテン等が壁となって周辺をとり囲む独特の地形を有しており、排気ガスと太陽光による光化学スモッグの発生がみられ、1984年と1989年に顕著な影響が観測されている。健康医療局(The Medical Officer of Health)はこの状況につき、重大な関心を寄せるに値する事態と声明を発しており、ケープ都市圏、特にその中心市街地においては大気汚染は市民の健康被害という意味で看過できない状況になりつつあると考えられている(Liebenberg&Stander1992)。

 

 

 

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